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2022

3/02

そもそも歯は… 姿勢編②


 

皆様こんにちは。

2月24日、ロシアのウクライナへの軍事侵攻が始まり、3月に入りました。連日の報道に胸を痛めています。

今日は少し骨と筋肉についてお話したいと思います。
難しい漢字や聞き慣れない用語が多く出てきて大変申し訳ありませんが、どうぞ最後までお付き合い下さい。

頭部の骨は、頭蓋骨(22個の骨の集まり)と、下顎骨の2つに分かれます。
上の歯は頭蓋骨の一部である上顎骨、下の歯は下顎骨と、それぞれ違う土台に乗っています。
ですので、そもそもその土台の動くスピード(成長のスパート)と土台の種類が違います。

上顎骨:成長は脳と同じ神経型に属し、4歳頃から成長が活発になり11歳までにその成長の9割を終えてしまいます。
骨は柔らかい海綿骨(スポンジの様なスカスカした骨)で、それぞれ縫合結合していて、縫合部成長していきます。
一方、
下顎骨:成長は四肢の長管骨と同じ一般型で、思春期成長期(背が伸びる時期)に成長していきます。この為男女差が少しあります。骨は硬い皮質骨で、両端に軟骨を有し、軟骨成長していきます。

この2つの異なる骨の上で、歯並びは時間をかけて作り上げられていくのです。
その期間はなんと、約12年。
0歳6〜8ヶ月頃から下の乳歯(子供の歯)が生えはじめ、12歳頃には全ての永久歯(大人の歯)が生え揃います。(親知らずは除いて) 個人差がありますので、あくまでも平均でお話しています。
最後に萌出してくる一番奥の第二大臼歯(7番目の歯)は、別名『思春期成長をお知らせする歯』と私は呼んでいます。
この歯が生え始めると、思春期に入り身長もグイグイ伸び始めます。子供から大人へと成長していくステージに入るのです。

乳歯から永久歯への交換の順番も、実に絶妙で、歯がきれいに並んでいく様に仕組まれているのです。そこにもきちんとした法則があるのです。
たとえ、順番が多少ずれてしまったとしても、気付くのが早ければ軌道修正は簡単です。
本当に人の身体って素晴らしいですよね。

更に踏み込んでいきましょう。

下顎骨は頭蓋骨にぶら下がったブランコの様なもので、耳の穴の前に関節(顎関節)を持ち自由な顎運動を行っています。ブランコと表現したのは、何もしなければブラブラ揺れている不安定なものとイメージして頂きたいからです。

頭部の重さはだいたい体重の10%で、イメージするなら、ボーリングの11~13ポンドの重さがあります。いざ、意識すると、これはかなり重い物が身体の一番上に乗っかっている、とあらためて感じます。
その重い頭部を、7つの細くて小さな首の骨(頚椎けいつい)、更に背骨へと続き、その他、肩甲骨、舌骨(喉の骨)、鎖骨等の骨が、首、肩、背中の筋肉で繋がり支えているのです。


姿勢が悪いと頭部が不安定になり、本来リラックスしているはずの筋肉が過緊張してしまい、疲れや凝りを生じたり、更にバランスをとる様に姿勢がおかしくなっていってしまうんです。

この重い頭部を支えるのは、頭部に近い骨や筋肉にとどまらず、最終は足の裏が全てを負うことになります。
この逆もあり、歩き方が悪ければ、足底筋も育たず、土踏まずの形成もうまくいかず扁平足になり、骨の成長にも影響が現れ、姿勢が崩れ頭部が不安定になってしまうこともあるのです。

頭部の安定、不安定。
日常生活にも色々支障が出てきそうですね。
更にそれが歯並びにまで関係しているのだとしたら…怖いですね。
姿勢が悪い、歩き方が悪い、これが歯並びとどう関係しているのでしょうか?
またまた疑問が増えてしまいました。

今日の話は、上と下の歯がどういう環境下にあるかを知った事で、どうやらそれぞれの環境が違う事で、本来は上手く歯並びが作られていくみたいだけど、でも何故近年、歯並びが悪い子供たちが増えているのだろう?と疑問を持たれた方、多いのではないでしょうか。
そして足の先から頭の先まで、全てがどうやら関連していることも何となくお分り頂けたのではないでしょうか。

そうなんです!
普段何気なくしている事が実は、良くも悪くも少しずつ身体に変化をもたらしています。
身体を無理なく機能させていけば、長持ちし、間違った使い方をすれば悪さをします。身体はとても正直です。
そして、機能は使わなければどんどん退化していってしまいます。(『用不要説』J.ラマルクによって提唱された進化説。生物は環境に応じて、良く使用する器官は代を重ねるにつれて発達し、反対に使用しなくなった器官は次第に縮小、退化すると言う説。)

楽しい生活、年をとっても綺麗で健康でいるために今日から始められることを、是非やってみてくださいね。

『姿勢』意識するようになりましたか?
『歩き方』これも意識してみる価値がありそうです。
先ずは【己を知る】ところから始めてみましょう。

さて、いよいよ次回は、【舌ベロ】について触れていきます。
姿勢、歯並びに非常に【舌ベロ】が関わってきますよ。
健康の入口はお口から。
どうぞお楽しみに。

参考書籍 『子どもの成長は足で決まる!』柴田英俊

副院長 矯正認定医 清水 直子