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2022

3/11

重力、恐るべし! 舌編①


 

皆様こんにちは。

今日はあまり脚光を浴びていない【舌】にスポットライトを当ててみたいと思います。話の最後には【舌】についてとても興味を持って頂き、今日から出来ることをやり始めて頂けたら嬉しいです。どうぞ最後までお付き合い下さい。

世の中は今まさに『アンチエージングの時代』。どこを見ても『若見え』『10歳若返る』などのキャッチフレ−ズが飛び交い、実際、実年齢≠見た目年齢 の方が増えて来ているように感じます。楽しみながら年を重ねることって素敵ですよね。
今日は、歯科の方面から『若さ』について切り込んでいきたいと思っています。

では『年を取る』とはどういう事なのでしょう…

『年を取る』とは、言い換えれば、生きてきた年数分、重力を受け続けた、とも言えそうです。
空気と同じ位、私達は常に重力を受けて生活していることを意識していません。
ですので、当たり前ですが年の数だけ誰もが同じ条件で変化は起こってくる。と考える事が出来ます。

若い頃シャープだった顔立ちも何となく四角くなり、瞼(まぶた)が重くなり、眼は若い頃よりも小さくなった様に感じます。額、目尻、ほうれい線のしわが以前よりもくっきりし始め、唇には縦じわが目立ってきます。髪の毛はうねりか出てきます。夜中のイビキも欠くようになったり…
これらは、重力に従った筋肉の結果なんです。努力をしなければ(ここで言う努力は、『抗重力』=重力に逆らう。の意味です。)年齢と共にいつかは訪れる自然な現象なのです。

特に下に引っ張る筋肉は重力の助けによってより顕著になり、〝上に引き上げていく筋肉〟は、意識して使わなければ重力に負けてしまうわけです。

では、皆様に質問です。
やっと『舌』の登場です。

A ◎ B ✕ C ✕
あなたはどうでしたか?

【舌】はその殆どが筋肉です。
筋肉は、起始(付着の始まり)と停止(付着の終わり)があり、骨若しくは靭帯に付着し収縮(ちぢむ)と弛緩(ゆるむ)で身体を動かしています。ただし舌の場合起始は骨なのですが、停止は同じ舌の筋肉内にあり、この為自由な運動が可能になっているのです。ですが、力を入れたい時(唾を飲み込む時、嚥下時=咀嚼した食べ物、飲み物を飲み込むこと)は舌もどこかにつかまりたいのです。その場所が〝上顎〟なのです。
舌が上顎にくっついていない人は、食事の時にクチャクチャ音をさせて食べたり、食べこぼしが多かったり、ゲップを頻繁にしたり、お顔の筋肉をふんだんに使って表情豊かにお食事をします。使わなくても良い筋肉を沢山使って食事をするため、とても疲れてしまいます。

舌は、前から後ろに、舌尖、舌背、舌根に分けられ、舌尖は丁度【ラ】や【N】を発音する所(=ここを矯正ではスポット。と呼んでいます。)にくっつき、その後ろの舌背、舌根はピタリと上顎にくっついています。(上の図のAの位置)

舌筋はそもそも喉の骨や下顎骨にくっついている筋肉です。ですので、舌筋が上顎にくっつく為には口が閉じていることが絶対条件となるのです。
しかし、姿勢が悪い猫背の人は、バランスをとる為に頭部が前に出ます。更にその状態でバランスをとる為に頭位は後傾し、伸ばされた喉の筋肉は元に戻そうと下へ引っ張る為、ブランコである下顎骨も引っ張られ口が開き、下の前歯の裏側に舌がくっつく【低位舌】になるのです。
【低位舌】の原因の殆どが、【口呼吸】です。もともと何らかの原因で【鼻づまり、鼻炎】等があった方は【口呼吸】となるのもやむを得ないのですが、【口呼吸】の約6割は【習慣性口呼吸】であると言うことが既に分かっています。この【習慣性口呼吸】にしてしまったのは、そうです。【悪い姿勢】という事になるわけです。

ここでおさらい。
姿勢が悪い→頭位の後傾→口が開く→口で呼吸→舌が下がる→上顎が狭くなる→歯並びが悪くなる。

【習慣性口呼吸】
口で息を吸うことが習慣になってしまい、鼻を使わなくなってしまった現代人。
その結果【低位舌】となり、上顎に舌がくっつかなくなり、頬っぺたの筋肉に押され上顎の歯列弓が狭められ、歯並びが悪くなる。と言う悪循環に陥ってしまうのです。

自分で自分の歯並びを悪くしていたんですね。

本来、舌の役割は、①構音(発音) ②摂食(食べること) ③嚥下(飲み込むこと)④上顎の歯列の発育と歯列弓の維持 ⑤口腔周囲の筋肉をリラックスさせ、頭部の安定。 これらの沢山の役割を担っています。…なのですが、【低位舌】になっているとこれらの役割がうまく機能出来なくなってしまうのです。
舌が上顎にくっついている状態は、舌が鉄棒(=上顎)につかまった状態で、筋トレした引き締まった筋肉なわけです。しかし、【低位舌】の舌は、トレーニングしていないぷにぷにの筋肉な上に、言うことも聞きません。
こんな状態が小さな頃から続けば顔の筋肉は下がり、中顔面の成長も促せず、歯並びも悪くなり、二重あごにもなるわけです。頭痛、肩こり、鼻炎、腰痛、膝の痛み、足の変形…
年月を経て変化を起こしていくのです。

【姿勢】【猫背】【口呼吸】【歯並び】【肩こり】【二重あご】【腰痛】色々関連があることが分かって頂けたでしょうか?

またお顔の筋肉は、頭皮に繋がり背中の筋肉にくっついています。このため、姿勢が悪く丸まった背中は、つながっている顔の筋肉も緩み重力に従って垂れていきます。
姿勢を良くすると背中の筋肉は頭を引っ張り、〝おでこのシワ〟予防。〝顔のたるみ〟の軽減となるのです。
年を取って出てくる髪の毛の〝うねり〟も、緩んだ頭皮で毛穴が変形し起こる現象だそうです。
舌が上顎に付いていることで、顎の筋肉をリフトアップさせているので、お顔周りをスッキリとした印象にさせるのです。

人間の身体は本当は素晴らしく良く出来ています。
普段の何気ない生活習慣が、今の自分を作っているんですね。

では、最後に。
姿勢編②で触れた、『下顎は、頭蓋骨にぶら下がっているブランコ』だとお伝えしました。
もし、ポカンと口を開けて、お口で息をしていたら?どうなるでしょう…?
そうです。
舌は色々な所へ遊びに行き(唇をなめたり、唇を噛んだり、歯をなめたり)じっとしていられません。そうなると、舌が付着している下顎は常にブラブラ運動している事になるのです。ブランコが動き続けていると、頭部は不安定になってしまいます。
頭部は、そうです!体重の約10%の重さがありましたよね。
その重い頭が常に揺れていれば、使わなくてもいい首や、肩の筋肉に負担がかかり、更に腰に膝に負担をかけてしまいじっとしていられない人になってしまうのです。
使わなくてもいい筋肉を常にフル活動させているわけですから、常に身体が【疲れた】の悲鳴をあげている事になります。

更に、座った時に足の裏はしっかり地面、床にくっついていますか?姿勢を支えるのは最終的には足の裏になります。ここに力がうまく伝わらなければ、歩くときも、座っている時も姿勢を維持することが出来ません。

子供が落ち着きがなかったり、歩いていても直ぐに疲れてしまったり、転ぶ事が多いなと感じたら、【姿勢】【鼻で呼吸をしているか】【歩き方】【足をブラブラさせていないか】等を気にしてあげてみてください。

姿勢を正して、お鼻でしっかり呼吸をし、舌はしっかり上顎にくっ付け、歩き方を気を付けるだけで、身体の色々な所に変化が生じて来るはずです。

身体の機能は惜しみ無く使ってあげた方が良い!と言うことです。機能は使ってあげた分ちゃんと応えてくれるからです。
そして、これからの子供たちにどうぞこれらの事を伝えていってあげてください。

巷に出回る高価な化粧品も良いですが、+【姿勢】と【口を閉じて舌の挙上】を気にする事で、より一層のアンチエイジングになりそうです。
重力に逆らう筋肉をしっかり使って鍛える事こそが、これからの人生100年時代を見据えて大切な事のように思います。
是非今日からお試し下さい。

次回は【重力、恐るべし! 舌編②】についてお話していきます。

『うちの子供、歯医者さんで顎が小さいと言われたから矯正しないとダメだって』これって良く聞く話ですね。
でも、それって本当なの?かな?
こんなお話も交えていきたいと思います。
お楽しみに。
最後までお付き合い頂き有難うございました。

参考書籍 『舌トレ』 今井一彰

副院長 矯正認定医 清水直子