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2022

10/31

歯ppy 歯lloween🎃【八重歯】


 

HAPPY Halloween🎃

皆様こんにちは。
韓国、梨泰院の群集事故は本当に心が痛みます。コロナの規制緩和後の事故。立ったままお亡くなりになった方もいたとか。楽しいはずのお祭りも惨事へと変化。“まさか…こんな事が起こるなんて…” “まさか” な事が起こらないように、気を付けることは一人一人出来そうですよね。今日は事故が無いことを祈ります。

【吸血鬼🧛‍♂️ドラキュラ】
凄い歯並びですね。思いっきり『八重歯』です。『八重』とは、重なりあっていることをオーバーに表現したという説がありますが、似たようなものに八重桜があります。
この『八重歯』、上顎には良く見られる不正咬合ですが、下顎にはあまり見られません。

どうしてなんでしょう❓️

それは、生え変わる順番が上顎と下顎では違うからなんです。

以前のブログ『進化』or『退化』で【歯の萌出順序】について少しふれていますが、

下顎:6→1→2→③→4→5→7(昔)
下顎:1→6→2→③→4→5→7(今はこちらの方が多い)
上顎:6→1→2→4→③→5→7
この様な順番で生え変わっていきます。

注:歯は真ん中を中心に左右に同じ歯種の歯が並んでいます。書かれている数字は、その歯種を前から数えた番号です。

注目は③。そうです。この③が“犬歯”で、俗称【八重歯】になりやすい歯のことです。
よーく見ると、下の歯は前から順番に生え変わっていく一方で、上の歯は③より先に4番めの歯が生え変わる為、上は下よりも【八重歯】になりやすいんですね。

余談になりますが、この③の歯、【犬歯】と言うだけあって、なかなか勇ましい歯なんです。犬の歯と書くくらいですから、勿論犬にもこの歯があるわけです。犬はこの歯が抜けてしまうと死んでしまうと言うくらい、どの歯よりも根っこ(歯根)が長く、形態もコロッと太く、最後まで残っている丈夫な歯なんです。この特徴は、特に肉食動物では、色濃く残っています。
人間も同じで、硬い肉を噛みきる時などは、この犬歯を使っているのです。

更に、この【犬歯】、口元の“張り”も作っています。歯が抜けてしまうと、口元はシワシワで内側に入り込んでしまい、老けたお顔になってしまいます。長い根っこを持った【犬歯】は、丁度小鼻の脇あたりから笑った時の口角部に位置しているため、若々しい口元の“張り”になるわけです。
もし、この歯が【八重歯】だったら?
そうです。口元は出っ張り過ぎてしまい不自然になりますし、笑うと唇が八重歯に引っ掛かり自然に下がって来ません。口も閉じずらいですね。そして、歯にとって一番大切な、硬い物を噛み切ることが出来ないと言うことです。
もし野生の肉食動物だったとしたら、戦いにも敗れ、ご馳走にもありつけず、死に絶えてしまう…。かもしれません。

でも、ちょっと待ってください!
『私は別に硬いものは食べないから大丈夫』なんて思っていませんか?

実は近年、この歯が
【埋伏】(顎の骨の中に埋まったまま、生えてこなかったり)
【異所萌出】(全く違った場所に生えてきたり)
【逆性】(方向が逆、顎の中に向かって進んで行く)
と言った様な複雑な動きをして、問題になっているのです。治療もとても大変で、
【開窓(かいそう)】(歯茎や骨を切り取り“窓”の様に開ける事)
【牽引】(装置を付けて引っ張ります)しなければならないのです。

では、何故?ちゃんとした方向に生えてこないのでしょう?

答えは、【噛んでいないこと】が原因の1つ!だったりするのです。

歯は、顎に沢山“刺激”が加わると【萌出力】を強めてきます。この“刺激”とは、【噛む】事です。良く奥歯でご飯を噛んで食べると、顎に“刺激”=“咬合力”が伝わります。この“刺激”により、顎の中のまだ【未完成な歯】の移動が始まるのです。【未完成な歯】と表現したのは、顎の中にある歯は、時期が来るまでは、まだ歯の頭の部分しか出来ておらず、そこから少しずつ、根っこを作りながら成長していきます。この【根っこ=歯根】の長さは、良く噛んで刺激が沢山加わると【長く】成長し、良く噛めないと【短いまま】終わってしまうのです。
【萌出力】は、歯根の形成が1/2~3/4形成された時に一番アクセルがかかります。逆に、この時期に【良く噛んで】いると、萌出力もup!歯根も長く丈夫な歯が出来上がって顔を出すのです。

でも、歯根の長さは、レントゲンを撮らなければ確認出来ませんよね?

大丈夫!!思い出して下さい。永久歯が生えて来るのは、6才~12才頃でしたよね?ですから、余裕を持って、前後1~2年前から【良く噛んで】いれば心配はないわけです。

本来【歯】は、【物を噛む】事が仕事なわけです。その仕事をちゃんとしている人は、期待に応えて【良い場所に】【丈夫な歯】が生えてくるのです。理にかなっていますよね。

でも【良く噛んでいなければ】…
変な場所に生えてきたり、潜ったまま出てこなかったり、更に形も大きさも小さかったり、根っこも短かったりと…踏んだり蹴ったりの悲しい結末になってしまうのです。

【6~12才】。余裕を持って【5~13才】。
この時期は兎に角、【良く噛む❗】この後、良く噛んでも効果は期待出来ません。噛まないよりは噛んだ方が良いですが、【噛む時期】を逃さずに😉‼️

昔から不思議に思っていたのですが、どうして上顎の歯の生え代わりの順番は③と4番目が逆になってしまったのか??
この順番さえ逆でなければ、【八重歯】になりづらいはずなのに…(?_?)

私もこの疑問が解決出来たら、またブログで紹介します。

副院長 矯正認定医 清水 直子