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2022

11/20

顎の形態と歯根の長さ🦷


 

皆様こんにちは。

今日は良く奥歯で噛まないと、こんなことが起きますよ‼️と言うことをお話しようと思います。

咬む筋肉は【咀嚼筋】と呼ばれ、
①咬筋(こうきん)
②側頭筋(そくとうきん)
この2つの総称です。

上記の絵は、怒った時やストレスを感じた時、奥歯でギュッと噛みしめると、この大きな咀嚼筋が活躍します。

①咬筋:【頬骨】から【下顎の顎角】に付着している大きな筋肉で、頬っぺたをさわって奥歯でギュッと咬むとムキッと動く筋肉です。お顔立ちが四角い方はこの咬筋が発達しており、よく【エラが張った】お顔と表現することもあります。

②側頭筋:下顎骨の筋突起と呼ばれる場所から頭蓋骨の側頭部に付着している筋肉で、【こめかみ】と呼ばれる目の脇の頭を触り、奥歯で噛むと動く筋肉です。


筋肉は良く使うと筋繊維が太くなり、筋力も強くなります。
筋力がupすると、骨に付着していますので、骨を引っ張り上げる力も強くなります。その逆もあるわけです。

咀嚼筋は、異なる2つの骨、頭蓋骨と下顎骨をつなぎ、その筋肉の伸縮で下顎骨を動かしています。
その運動がすなわち【咀嚼運動】です。

では、【下顎骨】の形にスポットを当て、真横から下顎骨を見てみましょう。
大きく2つに分けると以下の絵の様に分けられます。


どこが違うのでしょう?
この絵で注目して頂きたい所は【顎角】です。
ここでピンと来た方は流石です!!
そうです。【顎角】は【咀嚼筋】の付着部位でしたね💡

注目して欲しいのはその“角度‼️”。

右の絵は、良く噛んでご飯を食べている下顎の形態です。
左の絵は、顎の角度(顎角)が開いています(=“開く”と言う表現は顎の角度が大きいということです)。これは現代人に多く見られる形態で、良く噛まない=筋肉が使われない=咬む力が弱まる=下顎骨が引っ張りあげられない=顎角が開く…この悪循環が始まるのです。
この状態で成長期に突入すればお顔の成長も変化をきたしてしまいます。下顎骨が引っ張りあげられないため顎が引けていってしまう、小顎で顎がないお顔になるのです。
現代人は【咬む力】が弱いため、正面からのお顔は“シュッと”して細面で三角顔。横顔は顎が引けているのが特徴です。

去年の矯正学会で
【良く噛まない人の歯根が短い】という発表がありました。
前々回【ハロウィーンの回】でも触れていますが、
歯は、顎に沢山“刺激”が加わると【萌出力】を強めてきます。この“刺激”とは、【噛む】事です。良く奥歯でご飯を噛んで食べると、顎に“刺激”=“咬合力”が伝わります。この“刺激”により、顎の中のまだ【未完成な歯】の移動が始まるのです。【未完成な歯】と表現したのは、顎の中にある歯は、時期が来るまでは、まだ歯の頭の部分しか出来ておらず、そこから少しずつ、根っこを作りながら成長していきます。この【根っこ=歯根】の長さは、良く噛んで刺激が沢山加わると【長く】成長し、良く噛めないと【短いまま】終わってしまうのです。
【萌出力】は、歯根の形成が1/2~3/4形成された時に一番アクセルがかかります。逆に、この時期に【良く噛んで】いると、萌出力もup!歯根も長く丈夫な歯が出来上がって顔を出すのです。
【歯】はよく【木】に例えられます。
地上から出ている木は歯冠。根っこは歯根。木も根が長く張っている方が、強風に耐えられます。人間の歯も同様に、歯根が長く太い方が、強い咬合力に耐えられると言うことです。

【良く噛んでいる】から、それに耐えられる丈夫な歯根になるのでしょうね。言われて見れば当たり前の事なのですが、いざ、そうなんですよ✨と言われると、なんだかビックリ!すると言うか…

また話を戻しますと、【顎角】の角度が大きい人ほど、歯根は短くなる傾向にある。と言うことが分かりましたね。
因みに、【顎角】の角度が大きい人は、最近良く耳にする【睡眠時無呼吸性症候群】とも関連しています。
要は、下顎骨を引き上げる咀嚼筋が弱い方は、大抵【低位舌】であることが多く、口をポカンと開け、口呼吸しています。咀嚼筋も弱ければ、舌の筋肉も弱まっています。
良く見ると、姿勢も悪く、猫背気味の方が多く、肩が丸まり内転し、呼吸も浅い人が多いです。こうなると、疲れやすいし、頭痛、肩こり、腰痛が現れ、もう少しすると、膝、足と色々の症状が下に移っていきます。

『風が吹くと桶屋がもうかる』のように、『良く噛まないと、足が痛くなる』みたいな話です(笑)。

と言うわけで、小学生のお子さんをお持ちの方は、今からでも遅くありません。【良く噛む習慣】をつけるようにしてみてください。だからと言って、急に今日から『スルメ』ばかり食べさせる‼️なんて事はなさらないで下さい。本来、コツコツ積み上げて、良く噛める顎を作っていくものなんです。それは既に【授乳期】から始まっています。顎の大きさは身長が止まるまで続きますが、下顎骨の関節の形態、顎角の角度は12才頃ほぼ決まってしまいます。意外に早く終ってしまいますので、このゴールデンタイムを逃さぬ様、しっかり【噛む】トレーニングに励んで下さい。

コロナ第8波が来た❗とも言われています。
予防、免疫力up!、出来ることをしっかりやって乗り切りましょう✨

副院長 矯正認定医 清水直子