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2023

6/22

【脳】と【腸】の お話 後編


 

皆様こんにちは。

あっという間に6月ももう終わりです。
梅雨の季節、何だか憂鬱ですが、アジサイはいきいきとしています…

暫く間が空いてしまい大変失礼しました。

後編では、前編に引き続き【脳】と【腸】、更に【口】についてお話していきたいと思います。

前編では、脳と腸が密接な関係であることをお伝えしました。腸内細菌を食事で上手く育ててあげると、腸内細菌が作り出す様々な物質が脳に働きかけ、結果、様々な良い結果をもたらす事も分かってきましたね。

そしていよいよお口と結びつけていきたいと思います。
以前からお伝えしているように、
【健康の始まりはお口から】でしたね。
お口の中で大切なものは、“唾液”です。なぜなら、唾液の中には消化酵素が含まれているからです。唾液は1日1.0~1.5L排出されていて、その役割は、
①消化作用:アミラーゼと言うタンパク質分解酵素が出ています。
②お口の粘膜の保護作用
③洗浄作用:食べ物のカスを流しています。
④殺菌作用
⑤緩衝作用:お口の中を中性に保とうとします。
⑥再石灰化作用
⑦排出作用
⑧食塊形成を助ける
等があります。

唾液は、お口の中に物が入ると、唾液分泌中枢が刺激され唾液が分泌します。更に噛むことで咀嚼-唾液反射が起こり唾液の量が増えるのです。唾液は母乳と同じ血液から出来ています。この為、噛む筋肉=咀嚼筋が沢山動くと血行が良くなり、唾液も沢山出るのです。
お口の中には、唾液が出る部位が3ヶ所あります。
①耳下腺:丁度、上顎の第一大臼歯辺りのほっぺた
②顎下腺:舌のヒモの付け根、舌下小丘
③舌下腺:舌のヒモの付け根、舌下小丘
咀嚼(=良く噛むこと)回数が多ければ、咀嚼筋(=咬筋と側頭筋)が良く動き、更にお口の中では舌も沢山動きますので、近くの唾液腺から唾液が沢山出るのです。
これに加え、唾液は自律神経に支配されている為、興奮した交感神経優勢の時は、少量のネバネバの唾液。リラックスした副交感神経優勢の時は大量のサラサラ唾液が出ます。ですので、食事は、一家団欒でリラックスした状態で良く噛んで食べることが大切になります。
食材を見て【脳】を刺激し、良く噛んだ食材が胃に入ると、胃-結腸反射が起こり【腸】のぜんどう運動が始まりお通じに繋がります。当たり前の様に感じる事ですが、スマホをいじりながら、テレビを見ながらの食事では、【脳】へ良い刺激が伝わりません。こうなると、思うように唾液も出ず、食塊も作りづらくなるため、“水分で食べ物を流し込む” という方法で対処します。流し込んだ食塊は、良く噛んでいないため、食べ物が細かくなっていないどころか、十分な消化酵素も触れていないため、本来分解されなくてはならない物が大きなまま胃に入っていきます。この状態でどんどん先に進んで行くと、胃で分解する消化酵素、十二指腸で分解する消化酵素、小腸、大腸に来た時に、細かく分解されていない食べ物は、体内に上手く吸収されず、間違えると異物と判断され、アレルギーを引き起こしてしまうのです。

子育ての最中、私の母に言われた言葉は、『赤ちゃんや子供は、大人を小さくしたものとは違うのよ』でした。これは、もし、赤ちゃんや子供が大人を小さくしたものだとしたら、大人が食べるものをちいさなお皿に小さく盛り付けすればいい❗と言うことになりますが、実際は違います。色々な器官が未熟、もしくは発達途中にある。と言うことを頭にしっかりいれておく必要があるのです。
腸がしっかりと“大人”と同じ構造になるのは15才頃なんだそうです。子供の発達途中の腸は、まだ網の目が粗く、徐々に細かくなっていきます。網の目が大きければ、たやすく大きな物質が体内を移動することになります。細かく分解されなかった食べ物は、体内で異物として判断され攻撃を受けてしまいます。これがアレルギーです。
赤ちゃんは、歯がまだ生えていなかったり、生えていても数も少なく、形も小さく、咀嚼の習慣もついていないため、大人のようにしっかり良く噛む事が出来ません。ですから、母乳を飲ませ、一生懸命“離乳食”を作ってあげる必要があるのです。鳥が雛を育てる時は、必ず親鳥が一度良く噛んで半ば消化したものを戻して雛に与えるわけです。本来はそうなんだと思います。霊長類の中でも知能が高いチンパンジーは、しっかり3年間母乳で育てます。それぞれの生き物は遺伝子にインプットされた情報のままに生きています。人間は、知能を持った故に、様々な環境に適応し進化を遂げて来ましたが、核家族化が進んだ事で、情報の伝聞が上手くいかなくなって来ているような気がします。15才まではしっかり、子供に合わせた食事作りが大切ですし、それを伝えるためにはやはり一緒に食事をすることが欠かせません。【良く噛む】ことこそ、しっかり15才までは親が見届けてあげたいものです。

良く噛んで、食べ物を細かくし、消化しやすい形状にして胃に送る。この最初がクリア出来れば、後は身体が全部してくれます。腸に届く頃には最高の状態に仕上がり、それを食べて腸内細菌がパワーを発揮する❗ご飯の内容を色々気にしてみても、そこに【良く噛む】と言う事が加わらなければ、最高の状態にならないわけです。
【良く噛む】事は、ジョギングと同じ効果を生み出します。一定のリズムで筋肉を動かす咀嚼運動は、正に、ジョギングと同じです。同じテンポでリズミカルに噛むことは、ランナーズハイの様な状態を作り、【脳】にはエンドルフィンやドーパミンが放出され、ストレス発散、気持ちが良い状態になるそうです。【噛む】事は心も身体にも本当に良いことづくしなんですね。
【歯並び】に結びつけると、【良く噛む】事は、イコール【舌が沢山動く】と言うことです。
骨は重力が加わることで成長期に大きくなります(ここで言う重力は、骨に負荷をかける=咀嚼力です)。そして【良く噛む】事で、噛んだ回数分舌が動き、内側に向いて生えてきた下の奥歯を起き上がらせ、歯が並ぶ歯列弓の周長が増える、といった具合に顎が大きくなるのです。

更に、上顎の上には鼻があり、鼻腔と【脳】の距離は数㎜と非常に近接しています。
【冷やされた脳】は、気分も落ち着き、質の良い睡眠が得られ、集中力もアップします。逆に【脳】が温まるとボーッとして集中力も落ちてしまいます。
では、【冷やされた脳】にするにはどうすれば良いのか?
……それが鼻で息をすること💡なのです。
鼻と【脳】は数㎜で接しているため、呼吸の度に空気で脳が冷やされる状態になります。クーラーならば送風の状態が続いている感じです。
【鼻呼吸】→【舌の挙上】→【歯列弓の拡大】→【鼻腔拡大】→【脳の冷却】→【気持ちの安定】→【良質な睡眠】→【身体の健康】

【腸】【脳】【口】この3つの中で、自分の意思で動かしていけるのはやはり【お口】です。
ですから、もう一度大きな声で【健康の始まりはお口から】と言ってしまいます☺️。

今日から【良く噛む】朝ご飯からスタートしていきませんか?きっと良い1日になるはずですから🥰。

追伸
『一口入れたら30回噛もう‼️』って、言うは易し、行うは難し。
先日朝のTVでも【良く噛む】特集があり、最も効率良く噛んで食べていくにはどうしたら良いか?が取り上げられていました。
答えは【お口の中に入れるご飯や料理をいつもの半分にしてあげる】だけで良いそうです。
頬張って食べるといいことはありません。
一口を半分にした食べ物を15回噛めば、同じと言うわけです。
15才までは、【良く噛む習慣】をしっかり作ってあげましょう✨

副院長 矯正認定医 清水直子